美瑛のパッチワークの様な風景は人々に愛され毎年沢山の人達が訪れます。しかし、訪れてくださった皆さんが、畑の中に立ち入る様な事があると畑が恐ろしい害虫や病原菌に侵されてしまう事があります。
畑に入ってはダメな理由の一つに「靴底に付いた害虫や病原菌」を畑に運んでしまう可能性があるという事です。その害虫の一つにジャガイモシストセンチュウ(線虫)と呼ばれる害虫がありますが、皆さんはご存じでしょうか?下の写真の顕微鏡写真様に0.6~0.9mmと非常に小さな害虫です。黄色く丸いシスト(卵入り袋)0.6mm程を作ります。ジャガイモシストセンチュウは人畜には無害ですが作物にとっては大敵です。
シストの中には200~600個の卵がはいっており、この小さなシスト一個でも簡単に畑を汚染し、一度汚染されると現在の科学ではこれを全滅させる事は不可能に近いのです。
またシストという形のセンチュウは乾燥にも強くこの中で10年以上も生き続け、次に寄生する作物を狙っているのです(;゜ロ゜)


国際的なじゃがいもの大害虫であるジャガイモシストセンチュウは、1972年に日本で初めて確認されて以来、徐々にその分布を広げています。 この線虫が発生した農場での病徴はセンチュウ密度によって異なりますが、著しい場合は茎葉黄化としおれ、収量が30-60%も減り、 種いも栽培が禁止されるなど、その被害は大きく、その拡散を防ぐ努力がつづけられていますが、分布が広がりつづけているのが現状です。収穫量が半減してしまうと農家さんは生活も苦しくなって翌年の苗や肥料などを買う事も出来なくなってしまいます。農家にとって生活すら脅かされかねない凄く恐ろしい害虫なのです。
写真はセンチュウの被害で枯れてしまったジャガイモ畑と北海道のセンチュウが発生した畑の面積の推移とセンチュウがどの様に寄生し増えて行くかの図です。



また、センチュウはジャガイモシストセンチュウ(シストセンチュウ)だけでは無く、なかでも作物に被害が大きいのはネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウの3種類もあります。これらはトマト・メロン・大豆・小豆・菜豆・にんじん・だいこん・ごぼう・ながいもなといろんな作物に被害を加えます。これらのセンチュウについてはまた別の機会にお話しいたします。
この様にセンチュウ(線虫)は農家さんにとってとても恐ろしい害虫の為、その侵入には神経をとがらせています。ですから農家の人達は他人の畑に入る時などでも気を遣い長靴にビニールのカバーなどを掛けて害虫や病原菌を運ぶのを阻止しています。
また、美瑛の様に広大な土地を扱うには人力では不可能で多くの農耕重機を使って畑を整備したり収穫しています。これらは非常に高価な為、個人での購入は難しく多くの場合は共同で使っていたり、借りてきたりしています。ですが、ひとたびこれらに汚染されてしまうと、感染を防ぐ為に徹底的に洗浄しなくては成らないし、場合によっては感染が広がるのを恐れ少しでも汚染した畑には使用禁止になってしまう事もあり得ます。そうなってしまうと、もうその畑を持っている農家の方は広大な畑をどうしたらいいのでしょうか? 農地で生産できなくなってしまった農家さんはどうやって生活していったらいいのでしょうか? 農家の生活そのものを破綻させてしまう危険性もあるのです!
シストセンチュウを「持ち込んでしまう」ことはちょっとした不注意で起こりますが、1度入ってしまったセンチュウを「絶やす」ことは殆ど不可能な為、侵入防止の為の警戒に「十分すぎる」事はありません。
センチュウ発生の拡大には直径0.6mm程度の小さなシストが風や水流によって移動する「自然分散」も有りますが、最も重要なのは種苗や土壌の移動に伴う「人為的な分散」です。その中には「靴底に付いた土や車が運んだ土」による物も少なく有りません。
私達が、その運び役に成るような事は絶対にあっては成らないのです。くれぐれも畑に入ったりする事の無いようにお願い致します。
2012年11月2日 1:30 PM 記載記事


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